〜 保育園と保護者間のコミュニケーションをより円滑に 〜 医療・福祉業界でのDXソリューション活用事例
◆導入企業様: 社会福祉法人明星福祉会深坂保育園、鞍手のぞみ保育園、鞍手あゆみ保育園
業種 :医療・福祉
利用サービス:保育園LINE出欠管理システム
保護者が子どもの欠席や遅延連絡などをする際、対話アプリ「LINE」から、24時間いつでも保育園に連絡ができるシステム
社会福祉法人明星福祉会 深坂保育園園長 廣松 裕太 氏
◆課題
こうした現場の課題に答えるべく、パソナテックは対話アプリ「LINE」を活用した「誰でも簡単に操作できる出欠管理システム」の開発に着手し、ITの力で業務負担を大きく軽減することに成功した。
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福岡県の北部に位置する、社会福祉法人明星福祉会の深坂(ふかさか)保育園。1981年に定員60名でスタートとした同保育園は、2018年には新園舎を設立し、現在も多くの子どもたちの保育にあたっている。
心も体も「元気な子」を育てたいという想いから掲げる基本方針は、「家庭と連絡を密にし、子どものために最良の環境をつくる」こと。そのため、保育の質の向上にも日々注力しているが、近年は保育士にかかる大きな負担が課題となっていた。
「朝夕の登降園のタイミングは、保育士が行わなくてはいけない事務作業がどうしても多く発生しています。特に朝7時〜9時の登園の時間帯には、保護者の皆さまから欠席や遅延など様々な連絡が入ります。保育園のスタッフと保護者の連絡手段は、電話が主流です。
そのため、保育士がすべての電話に対応しきれないこともありました」と、廣松裕太園長は話す。
保育士が保護者からの電話連絡を個別に対応した後は、別途ホワイトボードに情報を記入し、園内のすべての関係者が内容を確認できるようにする必要もあった。
まさに、保護者が子どもの送り迎えでバタバタする時間と、保育士や事務スタッフがバタバタする時間が重なってしまう状態。その結果、正確な情報伝達ができず、保護者からの連絡をうまく共有できていない場合もあったという。
「保護者と保育園間のコミュニケーションをより円滑にする方法はないのか。そんなことを考え始め、園内での情報共有システムの開発を過去に依頼したことがあったパソナテックさんに今回もご相談することにしました」(廣松園長)
パソナテックはITの力を活用し、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しながら、これまでに多くの企業で業務の効率化や負荷の軽減を進めてきた。
今回、深坂保育園から依頼をうけてパソナテックが開発したのは「保育園LINE出欠管理システム」だ。保護者が子どもの欠席や遅延連絡などをする際、24時間いつでもLINEから連絡ができるシステムである。
朝夕の忙しい時間帯にかかる手間や負担を減らすことを目的として、2018年10月から開発を進めた。現在は、同園と系列の保育園に通う、あわせて約400人の園児の保護者たちがシステムを利用している。
今回のプロジェクトを主導し、博多Labでサービス開発マネージャーを務める溝江氏とサービスマネージャーを務める野口氏は「誰でも簡単に操作できる点を特に重視して、システムを設計しました」と話す。
「保育園LINE出欠管理システム」は、LINEのトーク画面を開くと、チャットボットが自動で用件を質問する仕組みになっている。
そのため、クリック操作のみで出欠連絡が可能だ。トーク画面には「欠席連絡をする」「遅刻連絡をする」「早退連絡をする」など、要件ごとにそれぞれのボタンが表示される。連絡済みの内容を改めて確認したり、取り消したりもできる。
実際のLINEの画面↓
「ITを活用した出欠管理システムは、他にも類似するサービスが多くあります。ですが、一度ブラウザを立ち上げ、そのあとIDやパスワードを入れるような、手間がかかるものも少なくありません。その点LINEは、多くの方々が日々のコミュニケーションツールとしてすでに活用しており、導入時や使用の際のハードルは低いと考えました」と、西日本支社長を務める松木氏は話す。
「保育園LINE出欠管理システム」の開発チームには、偶然にも小さな子どもをもつメンバーが集まっていた。そこでそれぞれの家庭内でも、保育園の連絡時に必要なポイントを具体的に聞き出したり、どういったツールが使いやすいかといったヒアリングを実施しながら、開発を進めていった。
「保育士と日々やりとりをするのは、決してお母さんやお父さんだけに限りません。おばあ様やおじい様がお孫さんの送り迎えを担当しているケースもありますので、誰でも簡単に使えるというポイントに特にこだわっていただきました」(廣松園長)
保育園側では、保護者からのLINE連絡をタブレットで閲覧できる。さらにタブレットで受信したメッセージをAIスピーカーで音声が自動で流すため、保育士はすでに登園済みの子どもたちのケアをしながら、それぞれの連絡を確認しやすくなった。連絡内容は送迎バスの車内へ自動で通知することも可能だ。
このように、関係者全員がリアルタイムで子どもの出欠を管理できるシステムとなっている。
深坂保育園は同じグループ内に、他にも複数の保育園を抱えている。そのため、どの保育園にも導入できる仕組みの展開も重要なポイントだった。
そこでパソナテックは、初期導入にあたって必要な機器をRaspberry Piとスマートスピーカーのみに絞り、システムにはAWSクラウドサービスを使用。クラウドサービスを活用することで、導入の初期費用を抑えることも可能にした。
「パソナテックさんとシステムの内容に関して議論した後、およそ1ヶ月ほどで具体的なご提案をいただくことができました。LINEのトーク画面に掲載するイラストも、私たちの保育園が実際に使用しているイラストのカラーやテイストに合わせていただき、とても細かな気配りを感じて嬉しかったですね」(廣松園長)
「保育園LINE出欠管理システム」を導入した現場からは、事務作業の負担が大幅に減ったという声が多く上がっている。これまで電話でのやりとりが頻繁に発生していた欠席連絡も、今ではLINEのトーク画面上が5秒以内で完結するようになった。
保育士やスタッフからは「情報の漏れやだぶりがなく、スムーズに保護者の皆様とやりとりができている」というフィードバックが届いている。
今後は「保育園LINE出欠管理システム」に、新たな機能の追加を検討している。その一つの例が、保育士と保護者間の相談ツールとしての活用だ。
現在多くの保育園では、保育士と保護者間で細かな情報を共有する際に連絡帳を用いている。日々の「交換日記」として、やりとりを楽しんでいる保育士や保護者も一定数いる一方で、双方の負担が大きいのも実情だ。
また、仕事や介護などで忙しいご家庭の場合は、連絡帳の記入にかかる時間を確保することが難しい場合もある。
そこで、連絡帳の機能をLINEで代用できないかという案が持ち上がっている。
「大切なお子さんの子育てとなると、保護者の方々は色々なことが気になるもの。例えば、お弁当の内容や水着の種類といった、電話での相談は憚られるものの、気軽に相談したい事柄は多いはずです。そこで、保育士やスタッフと良好な関係性を築く手段として、現状のLINEシステムを活用できたらと考えています」(廣松園長)
「保育の現場において、核となる部分は将来的にも変わらないでしょう。子どもをどのように育てていくかが、昔も今も、最も重要なポイントです。ですがその他の部分では、時代の変化とともに改善を進められるはず。ITを活用し、事務作業をはじめとした現場の負担を軽減することで、保育士のリソースを子どもたちにとって本当に必要な保育に充てられるようになります。そうすることで、より充実した保育の実現につながると私たちは考えています」(廣松園長)
◆プロフィール
社会福祉法人明星福祉会 深坂保育園園長 廣松 裕太 氏
株式会社パソナテック西日本支社長 松木 英史
株式会社パソナテック博多Lab サービスマネージャー 野口 公人
株式会社パソナテック博多Lab サービス開発マネージャー 溝江 正
インタビュー日時:2020年11月30日
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