MaaSをもっと身近に。

事業アイデアを膨らませる、パソナテックのワークショップとは

MaaSをテーマに、移動の未来を考える​

 トヨタグループとして培った技術力を活用し、ITソリューションを提供するトヨタシステムズ。システム開発から導入、運用を一貫して手掛ける同社は、車と移動の快適な未来づくりに向けた事業展開を進めている。​

近年、移動を取り巻く環境は大きく変化している。少子高齢化に伴う公共交通の需要の高まりや、AI(人工知能)などの新技術を搭載した自動車の登場もその一例だ。「車を生産して販売する」という従来のビジネスモデルが変わりつつある時代においては、自動車業界は車やモビリティ、そして移動のあり方を多角的に捉え直す必要がある。​

そこで注目が集まるのが、移動に関連するデータを活用して生活者の利便性を向上させ、効率的な輸送手段を実現する「MaaS」(モビリティ・アズ・ア・サービス)だ。2020年には国土交通省が「MaaS関連データの連携に関するガイドラインVer.1.0」を発表するなど、社会実装に向けた準備が日本国内で進んでいる。​

 

トヨタシステムズでも同様に、MaaSに関する情報収集の重要性が高まっていた。​
同社の販売事業IT本部、代理店・法人システム部レンタリースグループでGMを務める川上友之氏は

「社内でもMaaSをテーマに勉強会を開いたことはありましたが、もう少し踏み込んで学び、チーム内で意見を交換する場をつくりたいと考えていまして。

自動車業界全体がMaaSやCASEといった流​れを受けて急激に変化する中で、社員の業務にMaaSが直接関わっているわけではないのですが、自動車の製造や販売に関連するシステム開発、そしてその企画に携わる身としては、MaaSについて興味を持ち、さらに基礎知識を持ったうえで事業に臨み、アウトプットに活かすことができたらと思っていました」と語る。​
そこで同社は、MaaSについて考えるワークショップの開催を検討。そしてMaaSに特化したワークショップを手がけるパソナテックとの協業が決まった。​

パソナテックはMaaS事業の実現に向けて、様々な民間企業とワークショップを開き、モビリティに関する新規サービスやアプリの企画を立案してきた。また、MaaS領域の事業開発に取り組む企業に対して、事業・サービス開発の検討初期段階の構想からシステムの実装までを一貫してサポートした実績を持つ。​

 

議論を視覚的に表現する、グラフィックファシリテーション

 今回トヨタシステムズとパソナテックは、対面形式とオンライン形式の計2回のワークショップを開催した。「10年後の車の姿」や「この先の自動車販売店に求められるサービスとは」といったMaaSに紐づいたテーマのもとで議論が進行。一回目と二回目のワークショップの間には課題を設定し、参加者のモチベーション維持につなげた。​

 

ワークショップには20代〜40代まで、幅広い年代のトヨタシステムズの社員が20人ほど参加。4〜5人ほどのチームに分  け、各グループに進行役を一人ずつ設定した。​


ワークショップの冒頭には、パソナテック側から開催の目的や主旨を説明。その後各テーマに基づいて参加者が自由にアイデアを出し合い、最終発表に向けてのブラッシュアップが行われた。

アイデア出しのセッションでは、各自が付箋に意見を書き出すことで、議論を整理しながら発想を広げていった。オンライン開催となった第二回目のワークショップでは、付箋や線画を用いて自由に編集ができるコミュニケーションツールを活用した。​

 

パソナテックのワークショップでは、参加者が意見を積極的に出しやすい場をつくるために、様々な工夫が施されている。その一つが、グラフィックファシリテーターが描くグラフィックを通じて、参加者の発言を記録・図式化する手法だ。​

アイデアや意見をグラフィックとしてまとめることで、「何について、どのように話しているか」の認識を一致させ、参加者の疑問や課題を分かりやすく視覚的に表現することができる。

 

「議論をグラフィックにまとめていただけたことで、アイデアのイメージや世界観がすごくふくらみ、そのおかげで社員からも積極的に意見が出ていました。チーム内で振り返りをする際にも非常に役立ちましたね。今回のワークショップでは若手社員に自動車の未来像を考えてもらいながら、ビジネスの作り方も学んでもらえたらと考えていました。当初は意見が出てくるか不安な部分もあって。ですが当日は想像以上に議論が盛り上がりましたし、最終的な発表内容もチームそれぞれに特長があってとても良かったと感じています」(トヨタシステムズ販売事業IT本部 代理店・法人システム部 レンタリースグループ GM 川上友之氏)​

 

アイデアや意見に間違いはない。​大切なのは議論をしやすい場をつくること​

当日の全体進行を務めたパソナテックのテクノロジーソリューション事業本部 マネージャーの渡邊さやかは、ワークショップで重視しているポイントについてこのように話す。​

 

「ワークショップではまず、意見やアイデアに間違いはないということを皆さんにお伝えするようにしています。正解や不正解にとらわれてしまうと、アイデアが出にくくなってしまいます。ですので、まずは参加者の皆さんにたくさんアイデアを発散していただけるような場を作ることを大切にしています。どんな意見を出してもいい、積極的に話してもいいんだという心理的安全性を高めることがワークショップ開催時には重要だと考えています」​

さらにパソナテックがワークショップの開催にあたって重視しているのは、事前の準備とリハーサルの実施だ。今回のトヨタシステムズとのワークショップでは、実際の参加者を想定したうえでほぼ全ての流れを事前に行い、改善点を洗い出していった。​

細かな修正点や改善点というのは、リハーサルを行うことではじめてわかるもの。今回のワークショップに向けたリハーサルでは、全体の進行や問いかけの文言などに課題が見えてきました。​

いくら完璧な進行台本があったとしても、問いかけに対する捉え方は千差万別なので、参加者からどのような反応が出てくるか、実際にファシリテーター自身もワークショップを体験することで、机上の空論にならないように準備をしています。当日の参加者の方々に満足していただくため、弊社のメンバーだけで事前に全体的な流れを通して、改善点をしっかり洗い出すことが重要だと再認識しました。」(パソナテック DXソリューション事業部 アカウントマネージャー 建部 信幸)​

 

“次の行動”につながるワークショップを​

ワークショップ終了後に実施した参加者へのアンケートでは「次回も参加したい」「MaaSについて考える良い機会になった」というコメントなどが集まっている。また、ワークショップの開催は思わぬ効果ももたらした。​

今回ご参加いただいた若手社員の方からは、事業やサービスの作り方や提案の流れなど、サービスの企画開発に関する社内で必要な一連の流れを知ることができて良かった、というお声も頂戴しています。こうした効果は想定していなかったのですが、今回のワークショップが新たな事業創造の第一歩をどう踏みだせばいいのかということを知るきっかけになれたのかなと思うと、とても嬉しかったですね」(DXソリューション事業部 アカウントマネージャー 建部 信幸)​

今後パソナテックでは、ワークショップでまとめた意見やアイデアを社内のエンジニアを交えて議論することで、商品やサービス化といったアウトプットにつなげることを検討している。ワークショップ後の技術検証をエンジニアと行うことで、開発の優先順位をつけながら、実現の方法を検討することが可能だ。パソナテックのエンジニアはスマホアプリやWebシステム開発に強みをもっているため、アイデアを形にするサポートも提供している。実際にワークショップでアイデアが生まれたもののなかには、実用化に向けて開発が進行しているサービスもある。​

「もちろんワークショップの結果がすぐに現れてくるわけではありませんが、MaaSについてより深く議論することができたおかげで、今後はまず日常のニュースに対する見方や情報収集の感度も変わってくると思います。どうしても日々の業務に追われてインプットの時間を取ることが難しい社員も多いため、MaaSについて学べるきっかけになって良かった、という声も集まっています。今後はこうしたワークショップをより多くの社員と行っていきたいですし、願わくば部署や会社の垣根も超えて、様々なグループ会社の方々と共に多様な立場からアイデアを出し合うワークショップにも挑戦し、新たなサービスづくりも検討してみたいですね」(トヨタシステムズ販売事業IT本部 代理店・法人システム部 レンタリースグループ GM 川上友之氏)​

 

導入先企業情報​

■導入企業​
株式会社トヨタシステムズ​


■利用サービス​
デザインシンキング支援サービス​

■プロフィール​
株式会社トヨタシステムズ​
販売事業IT本部 代理店・法人システム部 レンタリースグループ GM 川上 友之氏

株式会社パソナテック DXソリューション事業部 アカウントマネージャー 建部 信幸​
株式会社パソナテック テクノロジーソリューション事業本部 マネージャー 渡邊 さやか​

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