2023年10月17日 08:30 #エンゲージメント向上
従業員の業務に対する意欲は、企業の業績をも左右する重要なテーマです。しかし、人の心理を変化させることは簡単ではないため、昔も今も従業員のモチベーション向上は、多くの企業にとって人材育成上の重要課題であるといえるでしょう。
近年、従業員の意欲を高め能力を発揮させる手法として「内発的動機付け」が注目されています。この記事では、内発的動機付けが注目されている理由と、従業員の仕事への意欲を高める具体的な施策を紹介します。
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「動機付け」とは、人間が行動を起こし目標に向かって進んでいく機能やプロセスを指す用語です。ビジネス領域においては仕事に対する意欲を高める働きかけを指し「モチベーション」とも呼ばれます。大きく「内発的動機付け」と「外発的動機付け」に分かれます。
内発的動機付けとは「人の内面から発生する興味や関心によって動機付けられている状態」を指します。報酬や評価、罰などの外的要因に起因する外発的動機付けと異なり、その行動そのものが好きで目的となるため、長期間にわたり高い意欲が持続する特徴があります。
内発的動機付けが注目される理由を解説します。
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資料ダウンロード | 社会人2年目の実態調査 社会人2年目の実態調査2023 -若手社員は何を求めて働いているのか-
本調査では、社会人2年目(2022年入社)の彼らに新入社員研修を振り返ってもらい、彼らは新入社員研修をどのように捉えていたか、実務で役立った研修や受講の有無に関わらず不足していると感じている知識やスキルは何か、彼らが仕事をする上で重視していること、テレワーク導入・未導入、男女での違いなど若者の本音が見えてくる調査結果となりました。
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現在の日本は、少子高齢化の進行による生産年齢人口の減少が顕著です。また、会社員の副業が一般的となり、兼業でフリーランスとして活動する人も増えています。
このように多様な働き方の選択肢が増え、従業員が自律的になることは喜ばしいのですが、反面人材が流出するリスクも出てきます。企業内で内発的動機付けを促進させるような施策を実施できれば、従業員も意欲的に業務に取り組めるので、結果的に人材の流出防止につながるでしょう。
生産年齢人口が減少し、将来的に労働力の確保が難しくなることはほぼ間違いありません。増員が難しいどころか、これまでより少人数で事業をおこなうケースすら想定できます。
企業の生産性は「数」×「質」である程度決まります。数が増やせない以上従業員一人当たりのパフォーマンスを向上させる必要が出てきます。従業員の内発的動機付けを高めることができれば、少人数でも生産性を向上できる可能性が高まるでしょう。
内発的動機付けは、個人の物事に対する興味や関心から喚起されるので、自発的な行動につながりやすいという特徴があります。内発的動機が高まると、従業員は自主的に考え工夫するようになり、自分の力で成長していきます。
主体的な従業員が増えれば、自走できる組織になり、会社全体が活気づいていくでしょう。
内発的動機付けを高める施策は、効果が出るまで時間がかかる点がデメリットです。これは、内発的動機付けが個人の内面に起因するため、個々の価値観に左右されるからです。また、内心の変化やモチベーションの向上は測定しづらいため、研修施策として取り組みづらい面もあるでしょう。
この点は、報酬や昇給を与えることである程度容易にモチベーションを喚起できる外発的動機付けの施策とは対照的です。
ここでは、内発的動機付けと外発的動機付けを比較して解説します。
外発的動機付けとは、人が外部の要因によって動機付けられることを指します。例えば「この目標を達成すれば報酬が与えられる」「この仕事ができないと人事評価が下がる」といった、報酬や評価、ペナルティなどが行動を引き起こす要因となります。
人は社会的な動物なため、経済的報酬や社会的な評価を求める欲求を持っており、外発的動機付けの影響を受けます。
内発的動機付けと外発的動機付けの相違点は、持続性と効果が出るまでの期間です。
内発的動機付けは、モチベーションの源泉が自分の内面にあるため長期間持続しやすいところが特徴です。一方、外発的動機付けは目標を達成すると効果がなくなってしまうことがあるなど、内発的動機付けに比べると、持続期間が短い傾向があります。
効果が出るまでの期間にも差があります。
内発的動機付けは、動機の形成から行動までの心理的過程が複雑であるため変容するまでに長期間かかります。一方、外発的動機付けは、報酬や罰を与えるなど基本的な生存欲求に関わることなので、短期間で行動を変容させる力があり、実施方法も明瞭です。
従業員の内発的動機付けを促進する方法を紹介します。
内発的動機付けの基盤は、あくまで個人の興味・関心や価値観なので、それぞれの個性によって動機となりうる要因が異なります。まずは自己分析をおこなってもらい、従業員に内面を確認する機会を提供することが大切です。
適性検査や1on1ミーティング、キャリア面談を通じて「自分は何にやりがいを感じるのか」「仕事に対する価値観はどのようなものか」という点を把握してもらうとよいでしょう。
関連記事:1on1ミーティングの目的とは?メリットや実施ポイントを紹介
自分で何かを決定している実感を持てると、内発的動機付けが形成されやすくなります。上司からの厳しい管理や指示があるマネジメントよりも、従業員の自律的な行動に任せるマネジメントのほうが、内発的動機付けの促進に有効です。
とはいえ、そのためには企業の大きな方向性、守るべき規範が明示されている必要があります。裁量権の範囲が明確なら、従業員も迷わず能動的に仕事に取り組めるでしょう。
「自分はこれをやり遂げられるという自信」が自己効力感です。自己効力感を高めるには、日々の業務の中で目標を設定し、毎日「今日達成したこと」を振り返ることが有効です。仕事の成果を自分がコントロールできるという実感により、内発的動機が形成されていきます。
改善点や反省点だけでなく、進歩したことに目を向けるような指導も大切です。
企業が理念やビジョンを打ち出し、従業員がそれに心から共感することも内発的動機を高めます。所属する組織に対するプライドを持てるようになり、その一員として自分も社会に貢献しているという実感が持てるからです。自社が何のために存在し、どのような社会課題を解決したいのか、社内に広く浸透させましょう。
関連記事:企業理念とは?経営理念・パーパスとの違いや作り方、浸透方法を紹介
内発的動機付けを高める施策を検討する際に、知っておきたい2つの心理効果をご紹介します。
アンダーマイニング効果とは、自発的な取り組みに対して外的な報酬が与えられることで、逆に自発的な意欲が失われる現象を指します。
例えば、野球が好きでプレイしている人に対して、報酬を与え続けると野球が好きだからプレイしたいという内発的な動機から、報酬を得たいという外発的な動機への変容が起きるときがあります。
このように外部から報酬をもらうことで目的がすり替わってしまい、いつのまにか内発的な動機が消失する現象がアンダーマイニング効果です。
エンハンシング効果とは、報酬が与えられることで逆に内発的動機付けが高まる現象です。つまり、外発的動機付けによって内発的動機付けが刺激されて高まる現象を意味します。
例えば、信頼している上司から褒められることで、部下は「もっと評価されたい」という思いが強まり業務に対する意欲が喚起されます。
アンダーマイニング効果もエンハンシング効果も外的要因です。外発的動機付けが内発的動機付けを阻害するのではなく高めるように、バランスを意識して施策を考えましょう。
企業にとって従業員の動機付けを高めることは、生産性向上のために不可欠な取り組みです。特に内発的動機付けは個人の内面から導かれるため、いわば際限のないリソースといっても過言ではありません。従業員の成長につながりやすく、企業の生産性向上も期待できるため、人材育成上の重要性は極めて高いといえるでしょう。
しかし、内発的動機付けを促進するためには専門的な心理学の知識やノウハウが必要です。個人の内心に必要以上に踏み込まないような配慮も必要です。そこで利用したいのが外部の専門サービスです。パソナの「オーダーメイド研修サービス」は、過去に7000社以上で導入実績のあるサービスです。従業員の意欲喚起という観点から企業ごとのオーダーメイドのプログラムを作成できます。従業員のモチベーション向上という課題に関心のある人事担当者の方は、ぜひ下記のリンク先で詳細をご覧ください。
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