2022年02月15日 10:21 #人材育成・強化
人材の採用、配置、育成、定着の人事戦略として、多くの企業に注目されている「タレントマネジメント」。
2019年のHR総研の調査では、タレントマネジメントシステム(HRテック)導入済み及び導入予定企業をあわせると約7割となり、システムを活用してタレントマネジメントに取り組む企業が多いことがわかります。
本記事では、タレントマネジメントとは何か、具体的な意味と求められている理由、あわせて人材配置・育成計画の最適化を目指す必要性を解説します。
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タレントマネジメントとは、社員のスキルや能力を貴重な経営資源・人的資源として捉え、最大限に活用する人材マネジメントのことです。
1990年代後半から米国で研究され、2001年にマッキンゼー・アンド・カンパニーのチームが刊行した「The War for Talent」を契機に、広く注目されるようになりました。
タレントマネジメントは、従来の人材マネジメントよりも「人材の採用活動」「適材適所の配置」「効果的な育成」「成長と定着への取り組み」をより戦略的におこない、「個別最適化の人材マネジメント」【※表】で、組織パフォーマンスの最大化を目指すところが大きな特徴です。
参照:人材マネジメントの在り方に関する課題意識 経済産業省 14ページ
生産年齢人口の減少、グローバル化による競争激化、雇用の流動化などにより、日本企業は従来型の内部公平性を重視した長期的・年次的な人材管理方法では成果を出しづらくなっています。
タレントマネジメントが求められる背景には、これからの時代に合う「個々が持つ力を最大限に活用する人材配置の最適化」や「定着率を高める育成重視の考え方」があるでしょう。
ビジネス環境が複雑化し、将来の予測が困難な時代は、採用した人材にできるだけ高いパフォーマンスを発揮し、長く活躍し続けてもらうことが大切です。
一般的に人材の多様性や流動性が高まると、企業の求心力は低下します。いかにして社員のエンゲージメント(企業への信頼や貢献意欲、愛着、絆)を向上させ、人材の流出を防ぎ、能力を十分に発揮してもらうかが企業の課題です。
言いかえれば、企業は社員一人ひとりのスキルや業務遂行能力を正しく把握し、モチベーションやパフォーマンスを向上させるマネジメント(人事マネジメント)をおこなう必要に迫られています。
そのためにタレントマネジメントシステムを活用して個人のスキル、能力、資質、経験などのデータを一元管理すれば、精度の高い人材配置が実現でき、生産性向上、リテンション率の向上が期待できるでしょう。
「人材配置」のミスマッチは、組織の業務効率を悪化させ、場合によっては離職にもつながります。人材配置は人事業務の中でも非常に重要な業務です。
人材配置は、社員の特性を見極めて配置した結果、実際に能力を発揮できているか、スキルが向上しているかなど、パフォーマンス向上に効果的な人材配置ができているかが重要です。
タレントマネジメントにより人材配置が最適化され、社員がやりがいを感じる業務に就くことができれば、エンゲージメント向上につながります。企業と社員の信頼関係は深まり、貢献意欲も生まれてくるでしょう。
企業のビジョンや目標を達成するためには、人材の育成・成長が必須となります。
個々の強み・弱みを踏まえて中長期的な視点で育成・教育をおこなえば、成長が加速し、高いスキル・能力・ノウハウを持つ企業を担う人材に成長する可能性が高くなります。
効果的なタレントマネジメントをおこなうためには、何よりも個人の適性や適職を正確に把握することが必要です。
そのためにタレントマネジメントシステムを導入する企業が多いのですが、システムを導入すればすべて上手くいくわけではありません。
パソナグループのキャプラン株式会社タレントマネジメント事業部では、導入サポート経験から「HRテック導入がうまくいかない原因」を以下の5つと分析しています。
原因①:ITリテラシーの低さ
日本企業では人事部門も現場もITリテラシーが高くなく、データ入力が徹底されない傾向がある。
原因②:導入目的を意識していない
導入目的があいまいなままHRテックを導入したり、導入途中で目的を見失ったりする。
原因③:言われるままに導入している。
本来、活用目的や自社のITリテラシーにあわせて決めるべきシステムを、安易に大手ベンダーに決めてしまう。結果、費用対効果が見合わなくなる。
原因④:ツールで使うデータが古い
人事異動があってもデータが更新されないなど、古いデータのままだとHRテックはうまく機能しない。
原因⑤:システムの不具合対応を人事部門がおこなっている。
人事スタッフが、エラーメッセージなどの不具合を担当すると時間がかかり通常業務に支障をきたす。そのため、システムの活用に積極的でなくなる。
以上を踏まえ、HRテック導入成功のポイントは、以下のとおりです。
○新しいテクノロジーを積極的に受け入れる
○業務管理のトレーニングをし、ツールを導入する目的を知る
○中立の判断軸を持ってツールを選定してくれる会社に相談し、一緒に考える
○運用の設計をしっかりおこなったうえで、最新データで運用する
○ツール導入後の運用は、運用が得意な会社に任せる
(参考:なぜ、人事管理システムや人材管理ツールを導入したのに何も変わらないのか?)
しっかりと上記のポイントをおさえた上で、タレントマネジメントシステムを導入・運用しましょう。
タレントマネジメントシステムにより、社員の強み・弱み、資質や適性、保有している資格、心の状況をデータで管理・分析することで、根拠に基づいた適材適所の人材配置や育成計画が実現できます。
タレントマネジメントに特化した適職診断システム・ツールを活用すれば、重要なプロジェクトのメンバーを選定したり、リーダーやサブリーダーを選抜することも可能です。精度の高い抜擢により、プロジェクトの成功率が上がることも期待できるでしょう。
関連サービス:適性適職診断「PAT」
従来型の人材管理方法では成果を出しにくくなった現代、企業の人材配置・育成計画の最適化は、早急に取り組むべき課題えます。
人事戦略として多くの企業に注目されている「タレントマネジメント」は、適材適所の人材配置、効果的な育成計画を実現できる人事アプローチです。個人の適性や適職診断ができるタレントマネジメントシステムやアセスメントツールを導入し、正確かつ効果的な人事業務を目指しましょう。
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