近年、日本でも多くの企業がDXの必要性を認識し、施策を推進しています。
一般社団法人日本能率協会の2021年の調査では、DXに取り組む企業は45.3%。大企業では6割を超えています。しかし、9割の企業が推進の課題に「DX推進に関わる人材が不足」と挙げています。
ビジネス環境の変化が激しい現代、企業がDXを実現させるためには、柔軟で迅速な開発に対応できる「ローコード開発」と、デジタル技術を活用して新たな価値を創造していく「DX人材の育成」が急務です。
本記事では、DXを加速させる技術として拡大しつつあるローコード開発とは何か?また、活用することで生じる具体的な開発環境の変化、企業にとってのメリット、DX人材を育成するために必要なプロセスを解説します。
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グローバル経済の中で企業競争力の鍵ともいわれるDXとは何か?DX人材とは具体的にどのような役割を担う人材かを解説します。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業がデジタル技術を活用して、変化の激しいビジネス環境の中で自社のビジネスモデル、業務プロセス、組織体制などを変革して、これからの市場で自社の優位性を確立することを指します。
Transformationには「変革」という意味があります。DXとは、単なる業務のデジタル化ではなく、デジタル時代において「収益を上げられるビジネスモデルへの変革」なのです。
デジタル技術の進歩、リーズナブルで高機能なITシステムの浸透により、コストの削減、業務の効率化が加速します。単調な業務を自動化することで社員は付加価値の高い仕事に集中できるため、生産性向上、より柔軟でイノベーティブな組織づくりが実現できます。
さらに、DXを推進して新しいビジネスモデルを構築し、質の高い製品・サービスを提供するなど、新たな価値の創出、市場の獲得を目指すことができます。
DX人材の役割には、今ある課題の解決だけでなく、デジタル社会を見据えたビジネスモデルの設計・企画など、新たな価値の創出が挙げられます。
もちろん、1~2人のDX人材で成し遂げられることではありません。DX人材とは、企業のDXを推進するために必要な高い専門性を持つテクノロジスト、自社のビジネスモデル改革を実現する業務知識、デザイン思考を持った人材、システムを実装するエンジニアなどの総称です。
なおDX人材といっても、IT企業などのシステムを提供する企業と、発注するユーザー企業では、人材に求める要件も人数も異なります。
日本は諸外国に比べてデジタル人材がユーザー企業ではなくIT企業に集中しており、ユーザー企業にDX人材が少ないという課題があります。
今後、ユーザー企業がDXを成功させるためには、デジタル技術を活用するスキル・ノウハウを持った社内のDX人材育成が急務になるでしょう。そこで、注目されているのがローコード開発なのです。
DX対応の鍵として注目されるローコード開発。簡単に言うとソースコード(プログラムを表現する設計図・文字列)をできるかぎり書かずに、ソフトウェアを開発する手法です。
ローコード開発ツールを導入すると、ソースコードは自動生成されるため、プログラムを書く作業がほぼなくなり、画面上の作業の多くをドラッグ&ドロップでおこなえます。プログラミング技術がそれほど高くなくてもシステム開発できることがポイントであり「開発の民主化」と呼ばれるほど革新的な技術です。
前述のとおり、日本企業では「DX人材」が不足しておりDX推進の課題となっています。しかし、ローコード開発であれば、社内人材に適切な教育を実施し、DX人材に育成することが可能となります。
また、ローコード開発はこれまでのシステム開発よりも高品質アプリを短期間で開発できるため、スピードが要求される現在のビジネス環境に柔軟に対応できるというメリットがあります。
ローコード開発を取り入れることで、開発環境に以下の変化が生まれます。
開発工数が減り、システム開発にかかる時間が短縮されます。ローコード開発ツールを活用すれば、修正時間も削減されるので業務負担が軽減します。人的ミスが軽減され、生産性が向上します。
ローコード開発ツールでシステムを開発すれば、管理や保守作業がこれまでより容易になり、人件費などが削減できます。
既存の古いシステムを、最新の技術を活用したローコード開発ツールで構築し直すことができます。基幹システムの老朽化・ブラックボックス化などが指摘される「2025年の崖」問題にも対応が可能です。システム開発のプロセスが属人化せず、すべて可視化できることもポイントです。
一般的なローコード開発ツールは、プラットフォーム自体にさまざまなセキュリティ対策が施されています。自社でセキュリティ対策をする必要がないため、コストや時間的負担を削減できます。
DXを成功させるためには、デジタル社会での自社の将来像を描き、新しい価値を創造できるDX人材の育成が欠かせません。
ローコード開発において重要な素養は、プログラミング技術そのものよりも、むしろ自社の業務理解、業務デザイン能力、デジタル技術の活用力、分析力、企画力などです。
そのため、DX人材育成プロセスで重要なのは人材の発掘・育成を社内でおこなうことです。
外部からDX人材を戦略的に確保するために、システムやアプリの開発・ローコード開発を内製化する方法もあります。ただ、外部からの人材調達はDX人材が希少なため超売り手市場となっており、それなりの年収・待遇の提示も必要になるでしょう。
自社でDX人材を育成するためには、DX人材開発プログラムなどを導入し、人材が着実に知識やスキルを習得してステップアップする環境を整える必要があります。自社のDX人材に習得してほしいスキルに合わせて最適な研修を提供することが大切です。一人ひとりのTech Intensity(テクノロジー活用強度)を強化していきましょう。
パソナグループでは、ローコード開発のトップシェアツール「Microsoft Power Platform(PPF)」を活用した「DX人材開発支援サービス」を提供しています。PPF は、Microsoft Officeを使いなれたユーザーなら、新しい業務アプリケーション構築を容易におこなえるのが特徴です。こちらもあわせてご覧ください。
DX人材開発支援サービス ~Microsoft Power Platform編~
企業がデジタル化を推進し、ビジネスモデルの変革を実現させるためには「ローコード開発によるシステムの内製化」と「DX人材の育成」が欠かせません。
DX対応に必要な技術として注目されるローコード開発は、ソースコードをできるかぎり書かずにソフトウェア開発が可能なため、人的ミスの軽減、開発期間の短縮、品質管理が容易になるほか「2025年の崖」問題にも対応可能など、さまざまなメリットがあります。
また、適切な教育を提供すれば、エンジニアでなくてもソフトウェア開発が可能になります。
DXを成功させるために、まず社内外から戦略的に人材を確保し、最適な人材開発プログラムを導入し、ローコード開発を活用したシステムの内製化に取り組んでいきましょう。
2024年02月13日 08:30
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