2022年12月27日 08:00 #エンゲージメント向上
アメリカのシリコンバレーが発祥とされる1on1ミーティングは、Yahoo Japanなど日本の有名企業での成功例もあり、最近では多くの会社が取り入れています。
1on1ミーティングとは、上司と部下による1対1のコミュニケーション手法であり、さまざまな効果が期待できます。しかし、1on1の意義やなぜ効果が出るのかを理解せずに人事に指示されるがまま続けていくうちに、実施自体が目的化したり、上司・部下とも継続する意味を感じられなくなったりするケースも起きています。
この記事では、改めて管理職が理解しておくべき1on1ミーティングの目的やメリット、1on1ミーティングをおこなう際の重要なポイントを解説します。
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1on1ミーティングを実施する目的は会社によって多少異なりますが、おおむね以下の2つです。
1on1ミーティングを人材育成の目的で実施している会社は多いでしょう。1対1のコミュニケーションを定期的にとり、上司が部下の課題にともに向き合い続けることは部下の成長を後押しします。
1on1ミーティングでは部下が主役の時間であり、上司はサポートする立場です。部下は仕事の課題、悩みについて主体的に話すことを通じて、自分が何をすべきなのか、課題解決の方法はあるかなどを考えていくようになります。
その中で上司が適切なフィードバックやアドバイスをしたり、ときに自身の経験を語ったりすることで、部下が自ら気づきを得たり、答えを見つけることができるでしょう。部下が成長すれば、チーム全体の育成や組織の目標達成にもつながっていきます。
1on1ミーティングのもう一つの目的は上司と部下の信頼関係の構築です。一般に上司は複数の部下を持つため、一人ひとりとバランスよく信頼関係を構築することが難しいですが、1on1を導入すると、上司は全員とコミュニケーションをとることができます。
部下それぞれの個性・能力を理解でき、部下たちも上司への親密さが増すので、1対1の信頼関係の構築はもちろん、チーム全体に信頼関係が醸成されやすくなります。
1on1ミーティングの実施は、会社に以下のメリットをもたらします。
1on1ミーティングを通じて上司と部下の信頼関係が築かれると、日常業務のコミュニケーションやマネジメントが円滑になります。情報共有や伝達、確認、相談などのやりとりがスムーズになれば業務が効率化し、会社全体のパフォーマンス向上につながります。
会社への愛着や貢献意欲をさす「エンゲージメント」と上司と部下のコミュニケーション量は相関するといわれています。1on1ミーティングでコミュニケーションの量を増やし、あわせて上司が部下へ承認や期待の姿勢を示したり、必要な情報を提供するなどのサポートをおこなうことで部下のエンゲージメントが向上し、離職防止にもつながります。
心理的安全性とは、否定されたり嫌われたりすることを恐れず、組織で自分の考えや気持ちを話すことができる状態です。Google社のプロジェクト「プロジェクトアリストテレス」によって「組織の生産性向上には心理的安全性が重要」であることが明らかになり、日本でも広く認識されています。
1on1ミーティングは心理的安全性を高めるために有効といわれます。対話を重ねることで、部下は発言への不安や緊張が減少し、アイデアや意見を発信できるマインドに変化していくからです。優れた意見が現場から積極的に出るようになれば、組織の生産性は上がるでしょう。
社員が自律的に行動しながらも、会社全体の価値観や考え方を統一し、同じ目標に向かって進むには経営ビジョンの浸透が必要です。ビジョンを浸透させる機会としても1on1ミーティングは有効です。会社が実現したいビジョンを共有し、部下が持つ将来のビジョンとすり合わせていくことができます。
テレワークによって気軽にコミュニケーションがとりづらくなり、転職も一般的になった現代は、どうしても人材の流動性が高まります。1on1ミーティングを通じて部下に「この会社で働く意義」を感じてもらうことは大切です。
部下が得られる1on1ミーティングのメリットには、以下があります。
1on1ミーティングでは人事評価面談とは違い、数字に表れない挑戦や成長についても話します。結果は出ていなくても成長した部分を認められたり、考え方や意欲を褒められたりすると、「もっと成長したい」「会社に貢献したい」という気持ちがわき、部下のモチベーションが上がりやすくなります。
自分の経験や不安、希望や提案について自由に話すことで、部下は自分の考えを整理できます。また、上司からフィードバックを受けて質問に答えるなかで内省するため、取り組みたいことが明確になるなど、気づきを得る機会も増えるでしょう。
自分のためだけに上司からフィードバックを受けられる機会を活かし、振り返りや改善を重ねることは、部下の成長につながります。
1on1ミーティングは、業務中は相談しにくいちょっとした仕事の悩み、漠然とした不安や将来のキャリアなど、さまざまなことを上司と話せる場です。悩みや不安を相談し納得感を得たり、上司といろいろな会話ができる関係性になったりすることで、部下のメンタルは安定します。業務に集中し、チャレンジする意欲も持てるようになるでしょう。
1on1ミーティングを通じて、部下は上司の考え方や会社の方針、現在の自分に置かれている環境について理解していきます。上司の過去の成功体験や失敗体験、業務やキャリアに対する考え方を知ることができれば、日々の上司の行動や判断も理解しやすいでしょう。また、上司の視点を知り視野が広がるメリットもあります。
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資料ダウンロード | 社会人2年目の実態調査 社会人2年目の実態調査2023 -若手社員は何を求めて働いているのか-
本調査では、社会人2年目(2022年入社)の彼らに新入社員研修を振り返ってもらい、彼らは新入社員研修をどのように捉えていたか、実務で役立った研修や受講の有無に関わらず不足していると感じている知識やスキルは何か、彼らが仕事をする上で重視していること、テレワーク導入・未導入、男女での違いなど若者の本音が見えてくる調査結果となりました。
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1on1ミーティングの目的を達成するためには、以下5つのポイントを理解しましょう。
まず、どのような目的で1on1ミーティングを実施するのか、どのような意義があるかを、導入前に明確に伝える必要があります。目的や効果を共有しておくことで、上司と部下の熱量の隔たり、部下のやらされ感を防ぐことができます。実施前にテーマを設定するとより話しやすいでしょう。
1on1ミーティングは人事評価面談とは異なります。部下の成長をサポートし、人間関係を構築することが目的であり、ジャッジの場ではありません。1on1ミーティングと人事評価面談で話す内容が似てしまうと、部下は萎縮して意見などいえなくなり、1on1ミーティングを実施する意味自体がなくなってしまいます。言いたいことがあっても別の機会にし、部下の話に耳を傾けることを忘れないようにしましょう。
部下に悩みや弱点を自己開示してもらうためには、上司から自己開示することがポイントです。上司が失敗談や悩みを率先して打ち明けることで、部下も自分の弱みを見せてよいと思えるようになるからです。
部下の成長に貢献するためにはフィードバックやアドバイスの方法、言葉選びを工夫しましょう。例えば、状況(Situation)→行動(Behavior)→影響(Impact)の順にわかりやすく伝えるSBI型を活用したり、ネガティブな内容を伝える場合は、前後に褒める内容を入れる「サンドイッチ型」にしたりするなど、部下が次のステップに向けて前向きな気持ちになるフィードバックやアドバイスをすることがポイントです。
毎回上司が部下との1on1ミーティングの内容をすべて覚えるのは難しいので、ツールを活用して記録を残しましょう。相談したことを上司が覚えていないと部下は失望してしまいますし、記録がないと毎回同じような対話で終わる可能性もあります。お互いに記録をとって、始める前と最後に確認し、次につなげていくことが望ましいでしょう。
1on1ミーティングの目的は「部下の成長のサポート」「信頼関係の構築」の2つが軸です。1on1ミーティングは「部下が主役」であることを上司が理解し、目的を意識したうえで部下の成長に貢献できるフィードバックをすることがポイントです。
1on1ミーティングの意義や目的を本当に理解して実施していけば、上司と部下の人間関係はスムーズになり、部下のエンゲージメント向上、チーム全体のモチベーション向上、ひいては組織の生産性向上につながっていくでしょう。
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