「戦略総務」という言葉を耳にしたことはないでしょうか。
企業を取り巻く環境が変わる中、総務の役割に対する考えが変わり始めています。従来はルーチン化した業務を受動的に行うことが総務部のイメージでした。そのため、社内における総務部の評価も高くなかったかもしれません。しかし今は能動的に動ける総務への期待が高まっています。
少子高齢化による労働力不足やワークライフバランスの変革によって、いまや多くの企業が従業員の定着率や満足度を上げるため試行錯誤しています。快適な職場環境を整え、業務の効率化をはかり、従業員のモチベーションを高く保つことで労働生産性を高め、優秀な人材に長く働いてもらうためです。
そのため、各部署と横断的に関わりながら社内の各種サポートをしている総務に、社内全体の労働生産性を高めながら企業自体を戦略的に改善していく役割が求められるようになりました。総務がこのような役割を果たすことが「戦略総務」の考え方です。
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<目次>
(1)総務及びITコンシェルジュデスクのONE TEAMによる生産性・品質向上
(2)本社移転に伴う、働き方改革を意識した戦略総務への移行を前提としたBPO
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戦略総務とは、業務を受動的におこなう従来の総務とは異なります。企業が抱えている課題を解決すべく、各種業務の効率化や社内の環境改善を「能動的」に提案し、企業の成長を継続的に支援していく総務部門の姿を指します。「働き方改革」という言葉が社会に浸透している現在、企業の体質を積極的に改善し、時代の流れに適応させるための重要な役割と言えます。
営業部門をはじめとする直接的な利益をもたらす部門だけでなく、総務部門も企業の発展に不可欠な部門として再評価する企業が増加しており、中には他の部門や外部から優秀な人材を総務へ投入する企業もあります。
前段でも戦略総務が求められる社会的背景について簡単に説明しました。その中でも、以下の2点が「戦略総務」が必要とされる主な理由です。
人口減少が甚だしい日本で企業の魅力を高め、いかに優秀な人材を引き付け、その人材に末永く働いてもらえるようにすることは、企業における喫緊の課題です。人口減少という課題に適応するためには、ダイバーシティ、健康経営、コミュニケーション活性化など、総務が対応すべきことは数多くあります。その上、従来通りの仕事の方法ではこれらの課題に対応できず、新たな方法を考え、総務から仕掛けて企業を変えていく必要があるでしょう。
リモートワークの普及など、働き方の多様化やBPOの充実化により、総務が関わる全ての業務を必ずしも社内で行う必要性を感じない企業が出てきました。そのうえ、効率的に利益を上げることが求められるため、限られた人員の中で最大のパフォーマンスを出すことが潮流となっています。
業務におけるプロセスの変化と生産性の高い環境を創るためには、総務が単なるコストセンターとなるのではなく、戦略を持って会社を牽引していく役割が求められるようになったことが背景としてあります。
企業の総務部門が「戦略総務」として能動的に活躍するためには、総務で働いている方々が自社の環境改善や課題解決に注力できるような環境を作っていく必要があります。しかしながら、現実として総務が抱えている業務範囲は幅広く、社内の環境整備から各部署のサポートまでその仕事は多岐にわたり、戦略的な業務に力を入れようとしてもなかなか難しいのが現状です。
そこで、業務分析により現在抱えているタスクを整理した上で、BPOの導入で外部に業務をアウトソーシングし、その結果生み出された工数を従業員が本来注力すべき業務や、課題解決に充てることが重要です。
業種:広告代理店 【従業員数】:約1,500名
体制:3人工(総務コンシェルジュデスク) 5人工(ITコンシェルジュデスク)
業務内容:
・総務コンシェルジュ業務(郵便・宅配物管理、物品・備品調達管理、ファシリティ管理、その他庶務業務)
・ITコンシェルジュ業務(PC・スマホ等のキッティング、社内ITインフラ管理)
※コンシェルジュデスク・・・何か困りごとがあったら、ワンストップであらゆる問い合わせに対応する総合支援窓口
業種:大手製造業 【従業員数】:約3,000名
体制:11人工(コンシェルジュデスク:6 受付:4 サイトマネージャー:1)
業務内容:総務業務全般(コンシェルジュデスク、メール室、印刷、オフィス巡回、庶務事務)、働き方改革の推進、業務改善提案など
※WBS・・・ワークブレークダウンストラクチャー。開発工程モデルに沿ってプロジェクトを作業工程に分解すること
近年は、多くの経営者が「戦略総務」の概念に共感し総務に対して高い期待感を持っている、と『月刊総務』の編集長、豊田健一氏も実感していると言います。
『月刊総務』による全国総務部アンケートでは、2019年は過去最大の828社の回答が得られ、そのうちの75%は「戦略総務」という言葉を認知していたという結果が得られました。
総務がコスト部門と言われ、昔からの社風や形式などにこだわった古くさい部署であると言われる時代ではありません。
経営陣と現場との潤滑油としてコミュニケーション力を発揮し、企業全体において積極的に改善していく「戦略総務」を実践することが求められています。
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